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名古屋市・豊田市の派遣会社エイチアールテクノのお伝えする最低賃金の話題

派遣社員さんも含め、すべての働く方・企業に影響のある「最低賃金額」。
昨年はコロナ禍の影響で上昇しませんでしたが、今年は大幅に上昇しそうです。
(地域別最低賃金の改定は毎年10月)

7月16日に公表された「地域別最低賃金額改定の目安」の話題をお届けします。

2021年の上げ幅の目安は「28円」

7月16日に開催された「中央最低賃金審議会」で、今年度の地域別最低賃金額改定の目安について答申が示されました。
各都道府県の引上げ額の目安は「A~Dランク全てにおいて28円でした。

※経済実態に応じて都道府県を4ランクに分け、それぞれに目安を示している。
 Aランクは 6都府県(埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知、大阪)、
 以下、B~Dにランク分けされている。


このAランク以外の道府県も「28円」というのは過去最高の水準になっています。
(Aランクは2019年も28円でした)


ランクごとの引き上げ目安

2021年の答申では4ランクとも同額でしたが、過去にはランクによって違う額が示されていました。

 2019年
  Aランク:28円、Bランク:27円、Cランク:26円、Dランク:26円

 2018年
  Aランク:27円、Bランク:26円、Cランク:25円、Dランク:23円


ちなみに2020年は、コロナ禍の影響で「引上げ額の目安を示すことは困難」という答申でした。


最低賃金とは


最低賃金とは、最低賃金法に基づき国が賃金の最低限度を定めたものです。
企業や雇用主は、最低でもその賃金額以上の賃金を支払わなければなりません。
基本的には時給で定められていますので、月給や日給の方は、所定労働時間数で割って時給換算して比較します。

もし最低賃金額を下回っていた場合は、雇用主はその差額を支払う必要があります。

最低賃金は毎年上がる?

毎年秋になると「最低賃金が上がる」というニュースが流れているように感じますが、実際はどうなのでしょうか。
過去10年の愛知県の最低賃金を見てみると…。

愛知県の最低賃金額

西暦  

最低賃金額 上昇額 上昇率
2011年 750 円  5 円 0.7 %
2012年 758 円  8 円 1.1 %
2013年 780 円 22 円 2.9 %
2014年 800 円 20 円 2.6 %
2015年 820 円 20 円 2.5 %
2016年 845 円 25 円 3.0 %
2017年 871 円 26 円 3.1 %
2018年 898 円 27 円 3.1 %

2019年

926 円 28 円 3.1 %
2020年 927 円  1 円 0.1%

※上昇率は、上昇額が前年の最低賃金額の何%にあたるかを示したもの(小数点第二位を四捨五入)

↑この図を見ると、最近の10年間は毎年上昇していることがわかります。

10年前は750円だったんですね!


10年間で200円近く上昇しているということです。
過去には上昇せず「据え置き」となった年もあります。


最低賃金上げ幅の目安は年3%


2017年3月、働き方改革実現会議にて「働き方改革実行計画」が立案されました。
その中で年率3%程度を目途に最低賃金を引き上げていく方針が示されています。

「必ず毎年3%上げる」いうことではなく、GDP成長率や地域の状況を考慮した上で決定します。

最終的には「早期に全国加重平均が1,000円」を目指しており、このまま進めば数年以内には1,000円を超えそうです。


名古屋栄・豊田市の派遣会社エイチアールテクノの最低賃金の話題

最低賃金が上がることのメリット

そもそもどうして最低賃金を上げようとするのでしょうか。
単純に、最低賃金が上がればもらえる給料が増えて、嬉しい人が増えそうですが…?
最低賃金が上がることによるメリットとはなんでしょうか。

個人への影響

最低賃金が上がれば、最低賃金以下で働いていた方の時給は新しい最低賃金額まで上昇します。(20-30円程度)
可処分所得が増えれば消費に回り、経済に好影響が出そうですね。

時給が上がることで仕事へのモチベーションもアップし、個人のスキルアップにつながることも考えられます。

企業への影響

企業側から見ると、最低賃金以下で働いていた方(非正規雇用が多い)の給与を時給ベースで20-30円ほど上げないといけないことになります。
人件費の負担増を価格に転嫁できればいいですが、それも難しいですよね。
そうなると、効率化・自動化を進めて人員を減らすことで人件費の増加を抑えようとするかもしれません。
結果としてオートメーション化や無駄な作業の効率化・スリム化が進みそうですね。

個人の可処分所得が増える影響を考えれば、その分消費が増え、企業の売り上げ増にもつながるでしょう。


名古屋栄・豊田市の派遣会社エイチアールテクノの最低賃金のイラスト

最低賃金が上がることのデメリット

企業にとっては、人件費増に直結します。
特にアルバイト・パートさんがたくさん働いている飲食店やコンビニ等は影響が大きそうです。
人件費が増加した分、設備投資を控えたり、人員削減につながることも考えられます。

アルバイト・パートの方にとっては、仕事量は同じなのに人数を減らされたり時間数を減らされたりするかもしれません。
正社員の方にとっては、残業時間の削減や、アルバイト・パートを減らした分の仕事量の増加も考えられます。
企業の業績悪化のしわ寄せが正規・非正規の社員にも来てしまう可能性があります。

特定最低賃金

ここまでは「地域別最低賃金」について考えてきましたが、最低賃金には「特定最低賃金」もあります。

特定最低賃金とは、地域別最低賃金よりも金額水準の高い最低賃金を定めることが必要と認められた特定の産業に設定されています。
都道府県によってそれぞれ設定されており、同じ産業でも県によってあったりなかったりします。

愛知県の場合は、
「製鉄業、製鋼・製鋼圧延業、鋼材製造業」
「はん用機械器具、生産用機械器具、業務用機械器具製造業」
「輸送用機械器具製造業」
「自動車(新車)小売業 」の4種類があります。

やはり製造業が盛んな地域+車の街、という感じですね。


最後に


2021年はコロナ禍でまだまだ経済が厳しい中にあります。
特に飲食店等は営業時間や酒類提供制限のダメージが大きい中、アルバイトさんの賃上げはWパンチという印象です。

日本は先進国の中では賃金が低く、正社員であってもなかなか給与が増えない状態が続いています。
最低賃金額を含む働く人の賃金を上げていく事は、今後の経済成長のために必要な措置ではあります。

地域格差も解消されていません。
2020年時点で東京や神奈川は最低賃金1,000円を超えていますが、14県では800円未満と200円以上の差が開いています。

2021年はすべてのランクで28円アップなので、Aランクでは2.8%、Dランクでは3.5%の上昇ということになります。
(地方の方が上昇率が大きくなっている=地域間格差の解消につながる)

実際の地域別最低賃金は10月から適用となります。
(日付は地方により異なる)
自分の地域の最低賃金がいくらなのか、自分の賃金は最低賃金を超えているか、確認するようにしましょう。

【参考】
厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/www2/topics/seido/kijunkyoku/minimum/minimum-09.htm
愛知労働局 https://jsite.mhlw.go.jp/aichi-roudoukyoku/jirei_toukei/chingin_kanairoudou/saiteichingin_toukei