2021年の同一労働同一賃金
派遣社員の同一労働同一賃金は2020年にスタート
2020年の派遣法改正で、派遣社員さんにも「同一労働同一賃金」が適用されるようになりました。
この改正で、時給UPや通勤費の支給など、嬉しい待遇改善があった方も多いのではないでしょうか。
一度制定された労使協定(労使協定方式の場合)はずっと有効という訳ではなく、毎年発表される賃金水準に合わせて見直しが必要です。
2021年4月以降の労使協定はどうなるのか。
変更点はあるのか、まとめてみました。
昨年のトピックスでも、同一労働同一賃金について解説しています。
ぜひ合わせてご確認ください。
⇒「派遣法改正」で派遣社員さんにメリットはある?
「均等・均衡方式」と「労使協定方式」
派遣労働者の待遇決定の方式は2パターンあります。
これは以前から変更ありませんが、念のため説明します。
均等・均衡方式
派遣労働者の待遇を、派遣先企業の従業員(無期雇用・フルタイム)と比較する方式です。
実際の勤務先の待遇と比較して、不合理な格差が無いか検討します。
待遇決定の方法は、この「均等・均衡方式」が原則です。
労使協定方式を選択していても、労使協定に不備があったり、労働者代表選出の方法に誤りがあったりすると、自動的に均等・均衡方式になります。
労使協定方式
派遣労働者の待遇を、同じ地域の同種の業務に従事する従業員(一般賃金)と比較する方式です。
約9割の派遣会社がこちらを選択しています。
一般賃金は、賃金基本統計調査や職業安定業務統計をもとに、毎年算出されるものです。
毎年一般賃金の水準が変化するため、派遣労働者の賃金水準も毎年見直しが必要になります。
賃金以外の待遇(必要な教育訓練や福利厚生施設[食堂・休憩室・更衣室等]の利用)は、派遣先企業の従業員との均等・均衡を確保する必要があります。
令和3年度の変更点は
2020年10月21日に、令和3年4月から適用になる一般賃金水準が公表されました。
もともと6~7月に予定されていた発表が10月になったのには、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を慎重に見極めるためです。
通勤手当の引き上げ
定額支給の通勤手当相当額を時給に含める場合の金額は、前年度の72円から74円へ引き上げられます。
退職金前払い方式の6%は、前年度から変更ありません。
賃金水準も増額傾向
一部の職種や地域を除き、全体的に賃金水準は増加傾向です。
一般賃金水準が下がった職種・地域でも、一般賃金水準が下がったからといって待遇を引き下げるということは通常認められません。
(派遣労働者の待遇改善、長期的なキャリア形成に配慮した雇用管理が目的のため)
新型コロナウィルス感染拡大による例外措置
今年は新型コロナウィルス感染拡大の影響で、同一労働同一賃金の対応にも「例外措置」が認められています。
一定の要件を満たす場合は令和2年度の一般賃金水準を引き続き適用することができるというものです。
厳しい雇用情勢が続く中、派遣労働者の雇用確保、維持を目的とした例外的な措置です。
例外措置の要件
例外措置の要件は、厚生労働省から出されています。
細かい要件がたくさんあるのですが、大まかにまとめると…。
- 派遣社員の雇用維持・確保が目的
- 労使協定を締結した事業所(派遣会社)の事業が一定程度縮小している
- 特定の職種・地域のおいて、事業活動が継続的に減少している
- 令和3年度中の派遣契約数への影響の見込み
- 令和2年の一般賃金を用いること、その理由、1~4の内容・具体的な根拠が労使協定に明記されていること
詳しくは、厚生労働省の資料『令和3年度の「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律第30 条の4第1項第2号イに定める「同種の業務に従事する一般の労働者の平均的な賃金の額」」等について』をご確認ください。
まとめ
「労使協定方式」の場合は、毎年一般賃金の見直しが必要です。
今年の一般賃金は概ね増額傾向ですが、新型コロナウィルス感染拡大の影響で、令和2年の一般賃金を用いることも例外として認められます(各種条件を満たす場合のみ)。
エイチアールテクノは2021年1月現在、令和3年度の「労働者代表選挙」を実施中です。
弊社の社員の方は、必ず期限までに投票用紙の提出(またはメール送信)をお願いいたします。
詳しくは用紙をご確認いただくか、担当者へお尋ねください。
【参考】
日本人材派遣協会 https://www.jassa.or.jp
厚生労働省「派遣労働者の同一労働同一賃金について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000077386_00001.html